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1.Under Pressure |
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2.Never Ending Nights | |
3.Metamorphic Dreamer | |
4.Skiline of The World | |
5.They Will Always Find A Reason | |
6.The Snake | |
7.They Want More | |
8.You Can't Lie Anymore | |
9.Price of My Life | |
10.Temple of Shelter | |
11.Fire in Your Eyes | 東芝EMI TOCP−7331:廃盤 |
Produced By:Flemming Rasmussen | 解説:和田誠 |
1992年10月発表の3rdアルバム。このアルバムでCHROMING ROSEは大変身を遂げた。1st、2ndと順調に進んできたかのように見えた彼らだったがそのサウンドが故に「ハロウィンのコピーバンド」との批判が多かった。そこで彼らはプライドと意地、そしてバンドの命運を賭けて大変身をしたのである。プロデューサーをトミー・ハンセンからフレイミング・ラスムッセンへとスイッチしたことからも彼らの決意が伺える。そのせいかサウンドは硬質になり、楽曲は非常にストレートな印象を受ける。正直、”ジャーマン・メタル”としてこのアルバムを聴くとかなりの違和感を覚える。実際、1st、2ndでCHROMING ROSEのファンになった人たちの評価は非常に厳しい。改めてこのアルバムを聴いてみると前作までの華麗なアレンジは極端に押さえられ、ヘヴィな曲が多いが、技術面、特にガードのヴォーカルがよく練られているのがわかる。それまではハイトーンになると少しふらつく所があったが、今回は聴かせどころを考え非常に安定している。なによりヘヴィさの中から滲み出る彼らのメロディーが救いになっている。ただ、平凡な曲−言葉は悪いが捨て曲が増えたのは残念。
アルバム完成直後、ギターのリッキー・リーガーが脱退する。STRANGER時代から一貫して”メロディック・スピード・メタル”を追求してきた彼にとってもこの選択は納得出来なかったのかもしれない。
バンドの命運を賭け方向性を変えたCHROMING ROSE、この年初の来日公演を行う。
しかし、このアルバムを最後にEMIからドロップすることとなる。
1.Under Pressure
1st、2ndではそれぞれ序章的なもの、SEを用いて静かにアルバムの幕を明けたが、 今回はパワー・コードのギターが力強くスタートする。ヘヴィなリフで進むミドル・テンポ・ナンバ−で、 彼らの変身ぶりを良く表わしている。個人的にそれまでの彼らの美点と思っていたコーラスが ヘヴィなミドル・テンポになるとACCEPTのコーラスのような効果を発揮してなかなか味わい深い。 曲作りにDrのターニー・メンデとBのハリー・ベックスが参加していることにも注目したい。
(M:T.Mende,R.Rieger/L:G.Salewski,H.Bex)
2.Never Ending Nights
2曲目もヘヴィでミドル・テンポの曲が続く。 イントロ〜Aメロとヘヴィな感じで進むが、サビで彼ら独特のメロディーが顔を出す。 途中アコースティック・パートもあり良く練られているのがわかる。
(M:S.C Wuller/L:G.Salewski,H.Bex)
3.Metamorphic Dreamer
彼らの変身ぶりが最もよく表われている曲。ヘヴィでありながらどこか哀愁を帯びている。 疾走でなく刻み込むリズム隊、要所で絡む2本のギター、そして力強さを感じるヴォーカル。 1曲めでも触れたが、ACCEPTの方法論を思い起こすのは私だけだろうか。
(M:S.Hirschbeck/L:M.Applegate)
4.Skiline of The World
「このアルバムは嫌い」という人達が唯一納得できた必殺の”疾走”ナンバー。 前作までのメロディーと疾走感を思い出させる曲。 作曲にリッキーが関わっているが、彼のメロディック・スピード・メタルへの意地を感じる佳曲。 またガードのハイトーンでの安定感が光っている。
(M:T.Mende,R.Rieger/L:M.Appligate)
5.They Will Always Find A Reason
「Louis XIV」「Garden of Eden」と並ぶ複雑な構成を持ち、 またアルバムのハイライトに挙げられる曲。 「Louis〜」「Garden〜」は共に元メンバー、マティアス・メンデの作曲であるが、 この曲はS.Cが作曲を手がけている。アコースティック・ギターのイントロに始まり、 ミドル・テンポで曲は進んでゆく。マティアスが全体の構成を重視したのに対し、 S.Cはリフを積み重ねることで曲を引っ張って行く。シリアスな印象を受ける1曲。
(M:S.C Wuller/L:G.Salewski)
6.The Snake
ユニークなリズムを持ち、疾走とまでは行かないまでもスピード感ある曲。 この曲を聴いてある曲を思い浮かべた人はいないだろうか? GAMMMA RAYの3rdアルバムのタイトルトラック「Insanity & Genius」である。 ”あの”カイ・ハンセンのバンドだけにCHROMING ROSEがパクったと思われるのは心外なので書いておくと 「Insanity〜」は93年7月リリースである。酷似しているのではなく、 リズム・パートが似ている程度なので一度聞き比べてみては?
(M:R.Rieger/L:G.Salewski,M.Applegate)
7.They Want More
ミドル・テンポの曲でヴォーカルが畳み掛けてくるような1曲。 ただ、メロディーが少し単調というか、フックに欠けるきらいがある。 Bのハリーの曲らしくグルーヴ感ある仕上がりになっているが、 冗長な印象は否めない
(M:H.Bex,R.Rieger/L:G.Salewski,T.Mende)
8.You Can't Lie Anymore
ベース・ソロから曲が動き出し、ヘヴィさを全体に漂わせるスロー・ナンバー。 その曲の展開はBlackSabbathからの影響・・・というよりBlackSabbathへの オマージュといったところである。が、CHROMING ROSEの楽曲としてはどうかと疑問に感じる
(M:H.Bex,R.Rieger/L:G.Salewski,T.Mende,M.Applegate)
9.Plice of My Life
ミドル・テンポで進むナンバー。5ではその構成力をみせつけたS.Cだが、 この曲では単調な構成とフックのないメロディーを示してしまっている。 捨て曲ともいえる1曲
(M:S.C Wuller/L:G.Salewski)
10.Temple of Shelter
本来ならタイトルとなった曲。サウンドは5と同様複雑な構成と独特のメロディーが特徴。 ギター・ソロに「Garden of Eden」のフレーズが出てくるのが面白い。 リッキーの力量がよく表われている。
(M,R.Rieger/L:M.Applegate)
11.Fire in Your Eyes
日本のみのボーナス・トラック曲。アルバムの流れを見てもラストを飾るにふさわしいバラード。 ボーナス・トラックなのは惜しすぎる。1コーラス目をアコースティック・ギター2本のみが バックを務め進んでゆく。練られた構成が美しいメロディーをさらに盛り上げている。 彼らの武器コーラスも曲に溶け込んでいて感動的である。 もしこのアルバムを買うのなら、是非日本盤を探し聴いていただきたい名曲である。
(M:R.Rieger/L:G.Salewski,,M.Applegate)