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1.State of Democracy |
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2.Daydreamer | |
3.Small Talk | |
4.Why | |
5.Cage of Love | |
6.Best of What I've Got | |
7.Everything You Like | |
8.Angel | |
9.New York;New York | |
10.Rage Against My Fear | |
11.Lies (Acoustic Version) | |
12.Saty (Acoustic Version) | |
テイチク・レコード TECX−25678 | |
PRODUCED BY : STS 8 MISSION | 解説:和田 誠 |
All Songs Written And Arranged By : STS 8 MISSION |
2ndアルバム発表後、初の日本公演を行った STS 8 MISSION の2年振
りのアルバムがこの「Blind」である。
今回のアルバムで再びメンバーチェンジが行われており、
リズム隊が一新されている。
新メンバーとして Rolf Sanders(B)、Clive Borgards(Dr) の2人が加入した。とはいえ、サウンドの核を作ってているのはザビエルとトーマスであり、
そのコンビネーションは今回も十二分に発揮されている。
アルバムの内容は楽曲に幅が出てきたこともあり、
音楽的に非常に豊かになったという印象を受ける。
また、全体的にメロディーが前面に出てきており、1stや2ndで見られた
力みも消え聴きやすくなっている。
BURRN!'94年4月号のレヴュー「それにしてもいいバンドになったものだ」(担当:川合純行氏)が彼らの成長を的確に表している。
このような完成度の高いアルバムを発表した STS 8 MISSION であったが
成功を得ることはできず、1995年10月解散となった。
1.State of Democracy
低くダークな雰囲気のアコースティックギターの音色・・・ それを破り切り込むヘヴィなサウンド。 STS 8 MISSION 2年振りのアルバムはこのミドル・テンポ・ナンバーで幕を開ける。
PINK CREAM69 は3rdアルバムで暗くヘヴィなサウンドに変化したが、 STS のこの曲はヘヴィではあるが、その中にドイツのバンドらしい美しい メロディーと力強さを備えている。特にギター・ソロでのアコースティック〜 エレクトリックと流れるパートは見事である。
2.Daydreamer
哀愁を帯びたクリーントーンのイントロから重いリフでスタートする スピード・ナンバー。
曲の随所にあるフックが聴き手を飽きさせない。 またトーマスの華麗なギター・ソロと新加入のクライブのキレの良い ドラミングが味わえる。
3.Small Talk
打って変わって軽快なアップ・テンポの曲。マイナー・キーのブリッジ からメジャー・キーのコーラスに変わる曲の展開はジャーマン系には ありがちである。だからこそ聴いていて気持ちがいい。
歌詞はくだらない話ばかりする奴のこと。GAMMA RAY の ”Who Do You Think You Are"と書けばいいかな。
4.Why
マイナー・キーのシリアスな印象のあるミドルテンポ・ナンバー。 割と淡々とした展開のためかそっけない感じがする。
と言っても、ギター・ソロは聴かせるし、曲のアレンジも練っている。 後半のキーボード、コーラスのパートは”オッ”と思わせるフックがある。
歌詞はこの世にはびこる矛盾についてを取り上げている。
5.Cage of Love
このバンドの持つ叙情性とドラマティックな面が爆発するバラード。
タイプは違うがJURNEYのスティーブ・ペリーのように”歌い上げる”という ザビエルのヴォーカルはとくにこのようなバラードになると説得力と扇情力がさらに増してくる。
また”ここぞ!”という所に入ってくるアコーステック・パートとベースを固める エレクトリック・パートの緩急は見事!
6.Best of I've Got
重くやや暗めの前半と打って変わってカラッとしたメジャー・キーで走り抜けるアップテンポ・ナンバー。
一本調子にならず曲の中にさまざまな緩急をつける1st以来の手法が自然にそして上手く生きている。 歯切れの良いリズム隊がさらに曲のドライブ感を生んでいる。
7.Everything You Like
暗く重い雰囲気のストリングスから始まるイントロはフェイントなのか、 アップテンポの”疾走”ナンバー。
その疾走感のせいか曲の仕上がりはロックン・ロールTHUNDERHEAD風味といった感じとなっている。
8.Angel
和田”キャプテン”誠氏がライナー・ノートで「JURNEY的」と評したナンバー。
どこか懐かしさを覚えるキャッチーなメロディー・ラインを持つこの曲は抜群の完成度を誇る。 アメリカン・ロックをベースに、ヨーロッパのバンドの持つ哀愁をたたえた美しいメロディー・ライン を加えることにより非常に聴きごたえのある曲になっている。
どこかTERRA NOVAにも通じるが洗練されていない分、雄大さを感じることができる。
9.New York;New York
明るく楽しい感じのこの曲、意外なところからのカヴァーである。
オリジナルはかの大御所フランク・シナトラのヒット(?)ナンバーである。 確かミュージカルの曲・・・と思う
THUNDERもライブでDrの Garry"Hurry"James のヴォーカルでオリジナルに近い アレンジでプレイしていた。
一方、STS 8 MISSIONはちゃんとヘヴィ・メタル・アレンジに仕上げている。 初めて聴いたときはオリジナルの曲と思ったほど違和感がなかった。
11.Lies
日本盤ボーナストラックの1曲目。
前作「Slippin' Into Fictoin」収録曲アコースティック・ヴァージョンで、 1992年の来日時にレコーディングされた。
アレンジはザビエルのボーカルとトーマスのギター1本だけなので非常に生々しい 雰囲気に仕上がっている。
12.Stay
日本盤ボーナストラックの2曲目。
Liesと同様に前作収録曲のアコースティック・ヴァージョン。
アコースティックの生々しさがこの曲の哀愁、叙情性を極限まで引き出している。 何故にここまで切なく美しいのか・・・。日本のファンとの絆を表すために作られた この曲にはやはり”マジック”がある。