Slippin' Into Fiction

Slippin' Into Fiction
1.Life Is A Miraclel
2.Wind Me Up
3.Lies
4.Stay
5.Kiss Goodbye
6.Better Place
7.Rat Race
8.Give Me The Low-Down
9.Yours Or Mine
10.Only One
11.Cheap'n'Nasty
テイチク・レコード TECP−28168 (廃盤)
C&C Record CC017/042−2 (輸入盤)
PRODUCED BY : Thomas Schmitt,Ralf Hubert
解説:和田 誠,伊藤政則
All Songs And Lyrics By : Xaver Drexler,Thomas Schmitt

前作は前身バンドFORCED ENTRYの名残を残した作品であったが、この2ndアルバムでは 大幅なメンバーチェンジが行われ、本当の意味でのSTS 8 MISSIONのスタートとなった。
曲作りはザビエル、トーマス2人で行ったため、前作より方向性が定まりアルバムにまとまりが見られる。 また、プロデューサーにMEKONG DELTAのラルフ・ヒューベルトを、 そしてリズム・セクションのプロデュースをHEADHUNTERのヨルグ・ミヒャエルが担当しており サウンドプロダクションが格段に向上している。何よりバンドが一回り大きく成長したことがアルバム全体から伝わってくる。
バンドはこのアルバムを引っさげCHROMING ROSEとのカップリングという形で1993年、 初来日ライブを果たすのである。


1.Life Is A Miracle

アルバムの1曲目は軽快でパワフルなスピード・ナンバーである。 前作で見られたアイディアの未消化の部分は無く、よく練られているのが1曲目からすぐに分かる。 比較的ストレートな曲だが、キャッチーなメロディーが耳を捉える佳曲。


2.Wind Me Up

前作での特徴であった起伏に富んだ展開を上手く発展させているスピード・ナンバー。 明るくキャッチーなメロディーラインにトーマスのセンスの良いギター・ソロが溶け込んでいる。 彼らの”成長”が正常進化であることがわかる。


3.Lies

R&Rっぽい雰囲気のミドル・テンポの曲。ノリが良くまたメロディーにフックがあるので 1曲目からの勢いを殺さず聴いていて飽きさせない。中音域が伸びやかなザビエルのヴォーカル が目一杯に披露される。


4.Stay

日本でのプロモーションの際、暖かく迎えてくれたファンに感激し、その日本のファンに捧げたという曲。 メロディーは哀愁に満ち、そして美しい。トーマス入魂のギターとザビエルの感情を込めたヴォーカルは 感動的である。パワー・バラード的なアレンジも見事でその完成度は高い。掛け値なしの名曲である!


5.Kiss Goodbye

マイナー・メロディの疾走ナンバー。方向性が定まったためか曲が引き締まり良くまとまっている。 オーバー・ダブを駆使したトーマスのツイン・リードのソロはスリリングだ。歌詞の内容はドラッグに ついて取り上げている。


6.Better Place

ブリッジまでマイナー・キーで進みコーラスで転調しメジャー・キーとなるジャーマンらしい展開の 曲だが、アレンジ等でしっかりと”STS 8 MISSION”の曲となっている。テンションが落ちることなく 駆け抜ける好ナンバー。


7.Rat Race

アメリカン・フレーバーのミドル・テンポのナンバー。アメリカンといっても最近のダークなものではなく THUNDERHEAD辺りに通じる雰囲気がある。無理をした感じはなく、あくまで自然でアルバム通してみても 違和感はない。


8.Give Me Low-Down

いきなりのツインリードとツーバスでの”疾走”するイントロから始まるスピード・ナンバー。 曲自体は7と同じくストレートなアメリカン的な展開を持つ。”自分の人生、ロックン・ロール・ライフ を生き抜きたい”というメッセージがストレートなメロディーに乗って力強く駆け抜ける。


9.Yours Or Mine

アルバム中最も前作の雰囲気を残す曲。起伏に富んだリズムが特徴的なミドル・テンポ・ナンバー。 中間のパートではIRON MAIDENを思い起こさせる展開を見せる。全体的にシリアスな印象のある曲。


10.Only One

ほんのりと哀愁をたたえたマイナー・キーのミドル・テンポの曲。オーソドックスな展開の曲だが 冗長な印象はなく、しっとりとした感じがする。そのせいか、どこかブリティッシュの雰囲気が感じられる。 STS 8 MISSIONにしては珍しいタイプの曲。


11.Cheap'n'Nasty

タイトルどうりWHITESNAKEのカバー・・・ではない(笑)。どことなくアメリカン・テイストのある 軽快なアップ・テンポ・ナンバー。7とは逆に、意識的に作っているのがわかる。他の曲と比べて やや単調ではあるが、その勢いとノリの良さはカラっとしていて気持ちいい。




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